メタプラネットの独立社外取締役から株主の皆様へ
株式会社メタプラネットの独立社外取締役による第10回新株予約権に関する書簡、および本新株予約権の発行に至る経緯、条件、ならびに現在の制度設計をまとめたファクトシート。
株主の皆様
株式会社メタプラネット(以下「当社」)の第10回新株予約権(以下「本新株予約権」)について、代表執行役CEO兼取締役議長であるサイモン・ゲロヴィッチが9月11日に公表したメッセージに加え、私たち独立社外取締役からも、その背景や考え方をお伝えいたします。
本新株予約権を巡る最近の議論の多くにおいては、その導入に至った背景や経緯、当時経営陣が引き受けたリスク、ならびにその後取締役会が実施した大幅な条件変更が、必ずしも十分に考慮されていないと認識しております。そこで、本書簡を通じて、これらの背景とこれまでの経緯についてご説明申し上げます。
本新株予約権は、当社がまさに経営上の重大な危機に直面していた時期に導入されたものです。当時の当社は、日本を中心にホテル事業を営む厳しい経営状況にあり、将来の見通しも極めて不透明で、事業転換が成功する保証はありませんでした。
そうした状況の中で、当社の再建を構想し、実行し、現在も経営を担っている経営陣は、自己資金を投じ、公正価値に基づく価格で本新株予約権を取得するとともに、長期にわたる権利確定条件を受け入れました。また、現金報酬についても、同業他社と比較して抑制された水準にとどまっています。
したがって、本新株予約権は、通常の役員報酬として捉えるよりも、当社の企業再建に伴う株式持分であり、現在のメタプラネットを築いた経営陣に対する長期的なインセンティブとして理解することが適切です。
役員報酬の金額のみを取り上げて比較しても、全体像を十分に捉えることができないのはこのためです。同業他社では、創業者が相当規模の株式を保有する一方で、経営については別途報酬を受ける専門経営者が担うことが一般的です。これに対し、当社では、同じ経営陣が現在の事業を立ち上げ、会社を再建し、その後も引き続き経営を担っています。
私たち独立社外取締役は、いずれも本新株予約権が発行された当時、当社の取締役には就任していませんでした。その後、当社の成長に伴い、本新株予約権の仕組みが現在においても適切なものであるかについて、その内容自体に即して改めて検証を行いました。
その結果、本新株予約権の経済的価値を大幅に縮減するとともに、2025年9月1日以降の新株発行に連動して対象株式数が自動的に調整される仕組みを廃止し、さらにロックアップ、権利行使およびガバナンスに関する制約・保護措置を追加しました。これらの変更の詳細については、添付のファクトシートをご参照ください。
メタプラネットには、すべての株主の皆様と経済的利害を深く共有する、現在のメタプラネットを築いた経営陣がいることが強みであると感じています。これまで大きな企業再建を成し遂げてきた同チームは、現在、当社の次なる成長段階に注力しています。すなわち、日本を拠点とするビットコイン・トレジャリー専業企業から、ビットコインを基盤として革新的な金融サービスをグローバルに展開する企業へと、メタプラネットを進化させることです。
取締役会の役割は、こうした取り組みを支えつつ、当社が最高水準のガバナンスを維持することにあります。
当社には明るい将来が開けていると考えており、今後もその歩みについて、株主の皆様に随時ご報告してまいります。
第10回新株予約権に関するファクトシート
本資料では、株式会社メタプラネット(以下「当社」といいます。)の第10回新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)について、導入の経緯、発行条件及び現在の制度内容をご説明します。
本新株予約権の性質
本新株予約権は、当社が現在よりはるかに規模が小さく、事業上のリスクも高かった時期に、当社の事業転換を担う経営陣が、長期的かつ相応の株式持分を保有するための手段として導入されました。
ビットコイン・トレジャリー企業への転換を構想し、実行した経営陣が現在も引き続き当社の経営を担っていることから、本新株予約権は、企業再建に伴う株式持分としての性質と、長期的な経営インセンティブとしての性質を併せ持つものです。
したがって、同業他社との適切な比較にあたっては、役員報酬のみを切り離して見るのではなく、創業者等による株式保有と経営陣に対する報酬の双方を考慮する必要があります。
取得価格と当時引き受けたリスク
本新株予約権は公正価値に基づいて価格が算定され、当社の財務状況が不安定で将来も不透明であった時期に、経営陣が自己資金を投じて取得したものです。無償で付与されたものではなく、投じた資金を失う可能性を伴う投資でした。
したがって、行使価額のみを見て評価することは、本新株予約権を取得するために支払われた金額、当時引き受けたリスク、複数年にわたる権利確定条件、さらにはその後追加されたロックアップおよび権利行使に関する制限を考慮しないことになります。
日本においてこのような仕組みが採用された背景
米国と日本では、株式報酬制度について、法務、税務および実務上の取扱いに大きな違いがあります。
日本においても、譲渡制限付株式や業績連動型の株式報酬は利用可能であり、近年その活用は広がっていますが、経営陣に相応の本源的価値を有する株式持分を付与する場合、その設計は米国とは異なります。
米国の同様の企業であれば、異なる金融商品や仕組みを用いることで同様の経済的効果を実現できた可能性があります。一方で、米国の制度のみを基準として日本企業の仕組みを評価することは、日本の法制度や実務を十分に反映したものとはいえません。
株主との利害の一致
本新株予約権の価値は、当社の株式価値に直接連動しており、経営陣と長期保有の株主の皆様との間に共通の経済的利害を生み出しています。また、経営陣は、当社の再建を進める中で、複数年にわたる権利確定条件や各種制限を受け入れる一方、現金報酬については抑制された水準にとどまってきました。
現在、調整条項の適用対象となっている期間、すなわち当社が初めてビットコインを取得した2024年4月から2025年9月1日までの間に、完全希薄化後1株当たりビットコインは約44倍に増加し、当社株価も2024年4月8日の19円から2025年9月1日の831円へと約44倍に上昇しました。
また、2026年9月28日時点では、完全希薄化後1株当たりビットコインは当社による初回のビットコイン取得時から約60倍に増加しており、当社株価もビットコイン・トレジャリー戦略を開始した当時と比較して14倍超の水準となっています。
取締役会は、こうした実績も踏まえ、本新株予約権の条件を見直しました。また、当社の成長に伴い、報酬制度についても進化させていく方針です。当社は現在、国際的に実績のある報酬制度アドバイザーとともに、将来に向けた業績連動型の役員インセンティブ制度の構築を進めています。
当初発行時及びその後の見直しにおけるガバナンス
本新株予約権の保有者自身が本制度を承認したものではありません。
本制度は、本新株予約権について利害関係を有しない取締役によって承認され、当時の社外監査役3名からも異議は示されず、その後、上記のとおり株主総会において承認されました。
現在の当社の独立社外取締役は、いずれも本制度が承認された当時、当社の取締役ではありませんでした。その後、本制度を改めて検証した結果、本新株予約権について複数の重要な条件変更を承認しました。
また、本新株予約権の保有者であるFounder & CEOのサイモン・ゲロヴィッチは、当該見直しに係る審議および決議には参加していません。
調整条項とその廃止
当初の条件では、当社が新株を発行した場合、経営陣の持分が当社株式の20%に相当する水準を維持するため、本新株予約権に係る対象株式数が調整される仕組みとなっていました。
これらの調整は、当初から定められ、株主によって承認された条件の一部であり、増資の都度、新たな新株予約権を付与したり、追加的な報酬を決定したりしたものではありません。
2026年8月、取締役会は本新株予約権の保有者の同意を得た上で、この自動調整の仕組みを廃止しました。さらに2026年9月には、調整に関する条項を変更し、2025年9月1日までに発行された新株についてのみ当該調整を適用することとしました。
これにより、2025年9月1日以降の新株発行については、本新株予約権の対象株式数は増加せず、今後の新株発行によって増加することもありません。
現在、本新株予約権について、既に行使されたものと未行使のものを合わせた対象株式数は、当社株式の約12.5%に相当します。この比率は、今後新たな株式発行が行われた場合にはさらに低下します。
取締役会が実施した変更
取締役会は、本新株予約権の保有者の同意を得た上で、以下の変更を実施しました。
- 自動調整の仕組みを廃止
- 本新株予約権の対象株式数を約41%削減
- 2億2,000万米ドル超に相当する潜在的な新株予約権価値を消滅
- 完全希薄化後1株当たりビットコインを約8.8%改善
- 発行から8年後となる2031年まで継続するロックアップおよび権利行使制限を追加
- 従来の本新株予約権プールの20%相当として予定されていた従業員向け新株予約権プールを撤回
- 国際的に実績のある報酬制度アドバイザーを起用
- 本制度に関するガバナンスおよび情報開示を強化
これらの変更は、従前の条件に基づく法的権利を有していた本新株予約権の保有者に対し、何らの対価を支払うことなく実施されたものです。
情報開示
本新株予約権およびこれが発行済株式総数に与える影響については、一貫して開示しており、当社が投資家の皆様に提供してきた完全希薄化後株式数、1株当たりビットコインおよびBTC Yieldの各指標にも反映してきました。
一方で、情報が開示されていることと、その内容が十分に認識・理解されていることは必ずしも同じではないと当社は認識しています。
当社の株主基盤がグローバルに拡大する中、当社は今後、資本構成についてより十分な背景説明を行うとともに、英語・日本語の双方で、株主の皆様との継続的なコミュニケーションに一層取り組んでまいります。