メタプラネット株主の皆様へ
An open letter from Simon Gerovich, Chief Executive Officer of Metaplanet Inc., on the Series 10 stock acquisition rights, compensation, and governance.
ここ数週間、多くの株主の皆様から、当社の報酬体系やガバナンス、そして、経営難にあった日本国内中心のホテル運営会社から、わずか2年足らずでグローバルなビットコイン・トレジャリー企業へと事業を転換する過程で、私たちが下してきたさまざまな判断について、ご質問をいただいてまいりました。
こうした対話は重要であり、真摯にお答えすべきものだと考えています。私は、この書簡を通じて皆様のご質問にお答えできるよう努めました。最後までお読みいただければ幸いです。
何よりも、当社の現在の姿を振り返ると、一つのことがますます明確になっています。それは、今回の議論の中心となっているインセンティブ制度が設計された当時と比べ、当社はもはや同じ会社ではないということです。当社は、私たちの誰もが想像しなかった速さで成長し、株主の皆様の構成も名実ともにグローバルなものとなり、事業も大きく進化しました。会社が成熟するにつれて、ガバナンスや報酬、そして株主の皆様とのコミュニケーションのあり方も、それに合わせて成熟していかなければなりません。
このため、当社取締役会は、第10回新株予約権に係る条件変更をさらに一歩進め、新株予約権1個当たりの対象株式数を2025年9月の海外募集前の水準に戻すことにより、潜在株式数を41%削減することを決定しました。私自身は第10回新株予約権の保有者であるため、この決定に関する審議および決議には参加していませんが、取締役会の決定を全面的に支持しています。私たち全員が共有する最も重要な目標は一つです。それは、当社が意思と行動の両面において株主の皆様と同じ方向を向いていることを、皆様に確信していただくことです。
当初の制度は、当社の歴史において現在とは大きく異なる段階、すなわち、会社の規模がはるかに小さく、その将来も今以上に不確実であった時期を前提として設計されたものです。当時、この制度は重要な役割を果たしました。しかし、状況が変化したときに過去の判断を見直す姿勢を持つことも、リーダーシップには求められます。
この2年間を通じて得た教訓の一つは、当社の転換を可能にした資質、すなわち確信、革新性、そして従来の常識に挑む姿勢には、今後、これまで以上に高い規律と、より思慮深い監督が伴わなければならないということです。
取締役会による今回の決定と、第10回新株予約権の保有者による同意は、企業としての当社の進化を反映したものです。当社の成長とともに、株主の皆様に対する責任も一層大きくなることを認識し、私たちは今後も自らの実務を継続的に検証し、改善してまいります。
変更の内容
主な内容は、以下の3点です。東京証券取引所に提出した適時開示の全文については、下記の投稿にリンクを掲載しています。
なお、変更後の条件は、当社取締役会において検討・策定の上、承認され、その後、第10回新株予約権の全保有者から同意を得ています。私は、第10回新株予約権を保有する唯一の取締役であるため、本件に関する審議および決議には参加していません。
1. 新株予約権1個当たりの対象株式数を410株に変更します
第10回新株予約権1個当たりの対象株式数は、当初の100株から始まり、その後の調整を経て、2026年8月18日に696株で固定されました。今回、これを2025年9月の海外募集直前の水準である410株に変更します。
海外募集前に行った最後のビットコイン購入を開示した2025年9月1日は、当社の歩みにおける自然な転換点にあたります。それまでの企業価値の向上は、主として、当社の事業転換を構想し、必要な資金を調達し、それを実行に移したチームの努力によって牽引されてきました。
一方、海外募集以降における株式数とビットコイン保有量の増加は、より大規模な資本へのアクセスを確保し、ビットコイン・トレジャリー戦略を拡大する当社の能力を、より強く反映するものとなりました。この海外募集は、資金調達による1株当たり価値の増加効果が縮小し始めた時点でもあります。その効果自体は維持されていたものの、従前と比べて小さくなっていました。また、第10回新株予約権の保有者に対し、既存株主の皆様と比較して過大な価値をもたらすとの指摘を受けるようになった時点でもあります。
今回の措置により、2億2,000万米ドルを超える新株予約権の価値が消失し、新株予約権の対象株式数は41%減少します。これに伴い、完全希薄化後株式数も減少し、完全希薄化後1株当たりビットコインは約8.8%増加します。
2. 追加の行使制限を設けます
新たな条件では、権利確定前のすべての新株予約権について、行使可能となる時期を繰り延べます。具体的には、その3分の1が2029年に、次の3分の1が2030年に、残りの3分の1が2031年に、それぞれ行使可能となります。
先月合意した5年間のロックアップについては変更ありません。そのため、新株予約権の行使により取得した株式は、ロックアップ期間が満了するまで、引き続きその対象となります。詳細については、東京証券取引所に提出した適時開示をご参照ください。
3. 新たな従業員インセンティブ・プールへの新株予約権の移管を取りやめ、新たな報酬制度の設計を加速します
従業員インセンティブ・プールへの移管を予定していた新株予約権の20%については、移管を行いません。これらの新株予約権は、今回の41%の削減の一部として、単純に消滅します。
今後新たに入社する人材に対するインセンティブについては、世界有数の報酬コンサルタントの助言を得ながら、新たな報酬制度を設計します。検討の進捗に応じて、詳細をお知らせします。
これまでの経緯
以上が、今回の主な内容です。しかし、この機会に一歩引き、当社がどこから歩みを始めたのかを振り返ることも重要です。第10回新株予約権がなぜ設けられたのか、その背景にどのような状況があったのか、そして、現在とは大きく異なる局面でこの新株予約権に投資した人々が、どれほど大きなリスクを引き受けたのかを理解するうえで欠かせないからです。
日本でビットコイン・トレジャリー企業を築くことは、どの企業にとっても前例のない挑戦であり、困難な状況からの脱却を目指していた日本の小規模なホテル運営会社にとっては、なおさらでした。その先に何が待ち受けているのか、進むべき道を示す前例も手引きもありませんでした。
経営破綻の瀬戸際にあった東証上場企業である当社の状況は、当社に先行した一社とも、その後に続いた多くの企業とも異なり、他のどの企業とも単純に比較できるものではありませんでした。私を含め、この革新的な転換を構想し、挑戦に踏み出したチームは、結果が極めて不確かな時期にその決断を下しました。私たちは、成功するよりも失敗する可能性のほうがはるかに高かった会社に、自らの時間、キャリア、そして自己資金を投じました。その対価として受け取った現金報酬はごく限られたものであり、その状況は現在も変わっていません。
その代わりに、会社の再建に必要な人材を確保し、その定着を図るため、株主の皆様のご承認のもと、長期的な株式保有を促すインセンティブ制度として、第10回新株予約権が導入されました。保有者は自己資金で新株予約権を購入し、厳しい制約と複数年にわたる権利確定期間を受け入れました。会社が失敗すれば、チームはその努力に対して、ほとんど何の対価も得られない仕組みでした。その目的は、会社の再建を担う人々の利害を会社の長期的な成功と一致させ、並外れた意欲を引き出し、それを高成長の期間を通じて維持することにありました。
第10回新株予約権は、1株当たり価値の向上を伴わない希薄化や、その向上効果がごく限定的な希薄化を促すことを意図したものでは決してありませんでした。むしろ、高成長の初期段階において、この制度を通じて優秀なチームを組成し、その後、1株当たり価値を大きく高める形でビットコインを迅速に取得し、会社を転換することができました。本日発表した条件変更は、この制度本来の意図が、株主の皆様にとっての結果に適切に反映されるようにすることを目的としています。
第10回新株予約権とその影響については公表しており、完全希薄化後株式数に反映するとともに、投資家の皆様にお示ししてきた1株当たりビットコインおよびBTCイールドの指標にも織り込んできました。同時に、情報を開示することと、その内容が十分に認識されることは、必ずしも同じではないということも、私たちは今、認識しています。
その後、当社は劇的な進化を遂げました。事業再生として始まった取り組みは、世界で最も注目されるビットコイン・トレジャリー企業の一つへと発展しました。世界でも有数の厳格な金融・規制環境のもとにありながら、当社は極めて短期間のうちに、アジア最大のビットコイン保有上場企業となり、世界でも最大級のビットコイン・トレジャリー企業の一つへと成長しました。
実際、世界のビットコイン・トレジャリー企業上位16社のうち、米国以外の企業は当社のみです。
今後に向けた当社のコミットメント
こうした点を踏まえ、当社の体制と実務が事業の成長に合わせて引き続き成熟していくよう、私たちはさらにいくつかの取り組みを進めています。
第一に、経営陣のインセンティブを長期的な株主価値の創出と適切に一致させる新たな報酬プログラムを策定するため、独立した外部専門家の起用を進めています。
第二に、経営体制の制度化を引き続き進めています。その一環として、取締役会による監督機能を強化しています。2025年3月および2026年3月の定時株主総会を通じて、新たに5名の取締役を選任しました。これは取締役10名のうち半数に当たり、全取締役のうち9名が独立社外取締役です。新たに選任された取締役には、世界的な監査法人、法律事務所および金融機関での経験を有する者も含まれています。強固なガバナンスの構築は、当社にとって重要な優先課題です。加えて、経営陣の体制を拡充するとともに、会計、法務、コンプライアンス、業務およびテクノロジーをはじめとする重要な管理・支援機能に、経験豊富な専門人材を迎え入れてきました。これにより、当社の規模と複雑性に対応するために必要な内部統制の強化を進めています。これらの強化策は18か月足らずの間に実施してきたものであり、今後もさらなる取り組みを続けていきます。
第三に、透明性の向上と、株主の皆様との対話の充実に取り組みます。具体的には、当社の資本構成および資金調達活動について、より詳細な背景説明を提供するとともに、英語と日本語の双方で一貫性のある情報発信と対話を行っていきます。
これらの取り組みは、現在進めているナスダック上場企業Super League Enterpriseの支配持分の取得を含め、当社が国際的な事業展開を拡大していくうえで、とりわけ重要です。
将来を見据えたとき、私たちの目標は明確です。それは、永続する企業を築き、ビットコインがもたらす非常に大きな機会を、株主の皆様の利益のために捉えることです。メタプラネットの歩みは、小さな会社が自らを再創造し、ほとんど誰も実現可能だと考えていなかった市場で新たなモデルを築き、世界で最も重要なビットコイン・トレジャリー企業の一つへと成長した物語です。
私たちは、取り組みを始めた当初には誰も想像しなかったほどの成功を収めており、この先には並外れた成長への道が広がっています。その道のりにおいて、私たちは正しい判断を下すために最善を尽くし、見直しが必要と判断した場合には、株主の皆様の利益を第一に考えて軌道修正していきます。
私たちは、これまで築き上げてきたものに誇りを持つとともに、株主の皆様に対する揺るぎないコミットメントを、今後も持ち続けます。
皆様からのご支援、積極的な対話、そして当社の未来への信頼に、心より感謝申し上げます。
A Further Update:
いくつか重要なアップデートを共有します。まず、私のXプロフィールに、私がMetaplanetを創業したという事実を追記します。以下の独立社外取締役からのメッセージでも述べられているとおり、この点は最近の多くの議論において十分に認識されていない重要なポイントです。 また、同メッセージには、第10回新株予約権について事実関係を明確に整理したファクトシートも掲載されています。 なお、最近、第10回新株予約権について疑問を呈するレポートをオンラインで公表したVanEckのアナリストからは、その分析について、残念ながら「公正な分析ではなかった」との認識が示され、その後、当該レポートは削除されています。日頃より皆様からいただいているご支援に感謝申し上げます。 今後も、コミュニケーション、透明性、そして誠実性を重視する姿勢に変わりはありません。
サイモン・ゲロヴィッチ Founder & 代表執行役CEO兼取締役議長