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暗号資産を保有する上場企業のTOPIX組入れを巡る論点について

JPXパブリックコメントへのオープンレター

2026年4月
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2026年4月3日、JPX総研は、暗号資産を相当程度保有する上場企業の取扱いに関するインデックス・コンサルテーションを公表し、当面の間、当該企業のTOPIXへの採用を見送る方向性を示しました。パブリックコメントは2026年5月7日まで受け付けられております。

25万人を超える株主を有し、その多くが日本全国の個人投資家である上場企業であり、また、4万BTC超を保有し、上場企業として世界第3位のビットコイン保有企業である当社は、本件に関し、以下のとおり所見を申し述べます。

日本取引所グループおよび東京証券取引所におかれましては、本件について広く意見を求める機会を設けていただいたこと、またTOPIXの構成および健全性の確保に向けた取組に対し、敬意を表します。

1. インデックスの一貫性と代表性

TOPIXは、日本株式市場の構成を反映するよう設計されており、輸出型製造業の興隆から、家電およびソフトウェア産業の台頭、そして2022年の市場区分再編に至るまで、数十年にわたり慎重に進化してきました。いずれの時代においても、TOPIXは現代日本の投資可能ユニバースをより適切に代表するものとなるよう見直されており、東京証券取引所によるこうした取組に対し、敬意を表します。

ベンチマークは、その構成銘柄すべてに対して一貫した基準を適用し、かつ投資可能ユニバースを可能な限り包括的に反映することによって、最も効果的に機能するものと考えております。新たなカテゴリーの発行体が出現した場合には、カテゴリー固有のルールを設けるよりも、既存の原則を一貫して適用することが、インデックスにとってより望ましいあり方であると考えております。すべての企業に対して、貸借対照表の個別の構成にとらわれることなく同一の組入れ基準を適用することこそが、ベンチマークが長期にわたり信頼され、代表性を維持し続けるための基盤であると考えております。

2. メタプラネットは日本の事業会社

当社の経営指標(KPI)は「1株当たりビットコイン保有量(Bitcoin per share)」です。当社が実施するすべての資本市場取引は、当該指標の向上を目的として設計・実行されています。また、当社の企業戦略は、この規律ある財務戦略と、現在稼働中または立ち上げ段階にある複数の事業から成る事業ポートフォリオの構築とを組み合わせたものです。現在推進中の事業には、ビットコイン・インカム事業、Project Novaの取組みを通じた日本におけるビットコイン関連インフラの構築、メタプラネット・ベンチャーズを通じたビットコイン・エコシステムへの投資、ならびにホテル事業およびメディア関連事業が含まれます。

当社は、単なる暗号資産の保有や受動的な運用を目的とする主体ではなく、実業を通じて新たな価値を創造する事業会社です。株主の皆様もまた、デジタル資産に対する単純な価格連動を求めているにとどまらず、明確な企業戦略に基づく当社の事業展開と、経営陣が主導する中長期的な成長ビジョンに共感し、投資を行っていただいております。

したがって、メタプラネットについても、他のTOPIX構成銘柄と同様に、事業モデル、財務パフォーマンス、および事業上の特性に基づき評価されるべきであると考えております。

3. 多様な資産構成と事業モデルを包摂してきたTOPIXの歴史

現行のTOPIXには、特定のコモディティ、製品ライン、または最終市場への高い連動性を有する構成銘柄が多数含まれております。例えば、資源エネルギーセクターや半導体関連産業など、景気循環や特定市場の動向に応じてダイナミックな株価形成が行われる企業群も、また、強固な財務基盤として現預金を厚く保有する企業群も、等しくインデックスを構成しています。TOPIXは、こうした多様な資産構成や事業モデルの集中を排除するのではなく、それらを包括的に内包することで、日本経済の真の実態を代表するベンチマークとしての役割を長きにわたり担ってまいりました。

仮に貸借対照表の集中度について追加的な検討が行われる場合には、特定の資産クラスに着目した基準ではなく、すべての構成銘柄に対して原則的かつ一貫した基準に基づく検討が望ましいと考えております。インデックスの中立性は、資産クラスを問わず一貫した取扱いを求めるものと考えております。

4. 日本の暗号資産に関する政策方針との整合性

日本は暗号資産について、思慮深く建設的な姿勢を示してきております。2025年12月10日、金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」は、暗号資産を投資対象として位置付ける実態を踏まえ、投資家保護とイノベーション促進の双方に配意しつつ、これを日本の規制された金融の枠組みの中に組み込んでいく方向性を示す報告書を公表しました。2026年1月5日、東京証券取引所の大発会において、財務大臣は、デジタル資産に関する取引所を基盤としたインフラ整備への支持を表明され、規制された取引所に確立された監督および投資家保護の枠組みについて言及されました。2026年4月10日には、閣議において、約105種類の暗号資産を金融商品として金商法の下に置く金融商品取引法改正案が決定されました。令和8年度税制改正はさらに、暗号資産の税制を他の金融商品との整合性を高める方向へと導き、譲渡益に対する20%の申告分離課税および3年間の損失繰越控除を、同改正法案の成立を前提として導入することとしております。

これらの動きは、暗号資産を適切な投資家保護の下で日本の規制された金融システムに統合するという、明確な国家政策の方向性を反映しているものと考えております。私どもは、こうした国の前向きな政策方針と、資本市場を牽引するインデックスの進化が相乗効果を生み出すことで、日本の金融市場がさらに活性化するものと確信しております。東京証券取引所におかれましては、投資家保護を担保しつつ、継続的なイノベーションを後押しする市場環境の整備に向けて、引き続き力強いリーダーシップを発揮されることを期待しております。

5. グローバルな動向および先例の参照

東京証券取引所が方針を策定されるにあたっては、まずは日本の資本市場、規制枠組み、および投資家基盤に関する文脈が主たる参照点となるものと考えております。以下に述べるグローバルな文脈は、あくまで参考情報としてお示しするものであり、特定の枠組みをひな形として提示するものではありません。

主要なグローバル・ベンチマーク提供者の間では、暗号資産を相当程度保有する上場企業の取扱いについて、近年、正式なパブリックコンサルテーションを通じて、または既存の資格要件の適用を通じて検討が進められています。2026年1月、MSCIは独自のパブリックコメントを経て、デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)企業をグローバル・インデックスから一律に除外する方針を採用しないとの結論に至り、当該カテゴリーについて引き続き検討を行う旨を示しました。他のベンチマーク提供者においても、既存の枠組みの適用を通じた対応がなされており、その具体的な結果は様々であるものの、総じて一律的な除外ではなく、透明性の高い基準に基づく判断が選好される傾向がみられます。

東京証券取引所は、日本に最も適した枠組みを判断する立場にあり、グローバル各社の動向は、判断にあたっての一つの参考となるものと考えております。本情報は、その検討の一助となることを意図して提供するものです。

6. セーフガード、情報開示、およびガバナンス

東京証券取引所が本件を慎重に検討していることは、ボラティリティ、情報開示の実務、および投資家保護に関する正当な懸念を反映したものと理解しており、当社もそれらの懸念を共有しております。こうした懸念は、一律的な除外ではなく、透明性が高く基準に基づく枠組みによって最も適切に対処されるべきものと考えております。

その上で、当社は東京証券取引所が適切と考える暗号資産を相当程度保有する企業に対する追加的な情報開示基準、たとえば独立したカストディ検証、プルーフ・オブ・リザーブズ(準備金証明)、リスク開示、およびガバナンスの枠組みなどに関する対話を歓迎いたします。

当社は、監査済みの財務諸表の公表、取締役会における過半数の独立社外取締役の維持、日本語および英語双方での情報開示および投資家コミュニケーションへの継続的な取り組みなど、透明性およびガバナンスの強化に取り組んできました。

透明性の高い基準を一貫して適用することが、当該カテゴリー全体への信頼を高め、日本の資本市場の発展および投資家保護に資すると考えております。

結びにあたり、日本は資本市場の歴史における重要な局面にあると考えております。デジタル資産に係る整合的な規制枠組みが形を成しつつあり、NISAおよびiDeCoを通じて過去最大規模の個人投資家が市場に参加しているほか、東京証券取引所は近年、企業価値および市場全体を適切に反映させることを目的とした改革を主導してきました。

これらの潮流は相互に補完し合うものであり、日本を、規制されたデジタル金融の分野において国際的に競争力のある地位へと導くものと考えております。既存産業と新興産業の双方を反映するインデックスは、資本形成、国家政策、そして家計の参加を同じ方向へと促す役割を果たすものと考えております。これを踏まえ、こうした進展を十分に反映したTOPIXこそが、日本を代表するベンチマークとしての役割を最もよく果たし得るものと考えております。

当社は、単一の貸借対照表上の資産クラスに基づく一律的な採用見送りではなく、情報開示の質、ガバナンス、流動性、事業実体、および株主保護に基づき、各上場企業を評価する原則ベースの枠組みについて検討いただくことが重要であると考えております。また、本件に関するワーキング・グループまたはラウンドテーブルを開催される場合には、当社としても議論に参加する機会をいただければ幸いです。

本件に関するパブリックコメントの機会を設けていただいたこと、また日本の資本市場の発展に向けた継続的な取組に対し、日本取引所グループおよび東京証券取引所に敬意を表します。

サイモン・ゲロヴィッチ

代表執行役CEO

株式会社メタプラネット(東証スタンダード 3350)

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